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ハリウッド版時をかける少女〜ハッピーデスデイ(2017)〜

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ムネアツシです。

ビビりにとって
ホラーや怪談を楽しむには
冬という季節がまさに
オンシーズンなのである。

なのでいまこそが
“旬”の時期であるのだが
なかなか当たりを引くことができない。

そうしたなかでの
「ハッピーデスデイ」という映画。

観る前から明らかに
B級っぽい雰囲気が出ていたのだが
意外にもコレが当たりだった。

おもしろい。

めっちゃおもしろい。

こわいのが苦手な人でも大丈夫だよ。
ホラーの仮面を被った青春コメディなので。

ハッピーデスデイ(2017)

〇STORY〇

主人公の女子大生ツリーは誕生日の晩に
不気味なマスクを被った人物に
背後から襲われ殺されてしまった。

しかし彼女が目覚めると
誕生日の朝に時間が戻っており
またその日の晩になると
同じマスクの人物に殺されてしまう。

このマスクの人物を捕まえない限り
殺され続け同じ1日をループする彼女は
明日を取り戻すために犯人探しに出るのだった。
いったい真犯人は誰だ!?

――――――――――――――――――

なぜこれほどに
この映画の魅力が光るのか。

それは主人公の女性
ツリーのメンタルの強さにある。

基本的にこのテの映画では
若者のグループが
バケーションを利用して
キャンプやコテージなどでの
宿泊先で怪人や殺人鬼によって
次々と襲われていくのがセオリーである。

セックスやアルコール
ドラックなどに染まってしまった
数人の若者グループの不埒なバケーションが
地獄へと変わってしまう様を
男女のグループが羨ましすぎるぼくたちは
襲われる側よりも怪人や殺人鬼側にまわって
若者達が次々とログアウトしていく様を
怖がりながらも楽しんでいる。

だいたいの場合
生き残るのは女の子一人か
「イケてない」男の子との
2人で脱出に成功する。

デブは最初に死ぬし
イケメンでもちゃんと平等に死ぬ。

それがこそがこのテのホラー映画の
面白みのひとつだと言える。

この映画も御多分に洩れず

「謎の殺人犯」

「主人公は女子大生」

「おっぱいが大きい」

カードは揃った。

どんな残酷な方法で
仲間たちは消えていくのだろう。

しかし今回は複数人対1人ではなく
タイマン勝負。

しかも主人公はこれまでの歴史で
散っていった若者グループを束ねたような
「超」がつくほどのビッ●のヤリ●ンである。
おまけにポジティブさとバイタリティの高さには
シリアルキラーの手でも一筋縄ではいかない。

過去のタイムリープものといえば
それぞれが死への恐怖や痛み、
命の価値への葛藤がシリアスに描かれている。

しかしながら本作の主人公は

「あーもうまた死んじまった!
まったくしょうがねぇな!」と

ゲームのコンティニューボタンの連打する
かの様にリセットを続けていく。

シリアルキラーに襲われる歴代の女性は
ギャーギャー喚きながら逃げ回るのが常だが
彼女の場合はかなり早い段階で
臨戦体制に入るような
ホラーと言うよりコメディ映画に近いテンポが
いい意味で恐怖を和らげてくれる。

死への恐怖に追われながらも
決して折れることのない
スーパーポジティブと
屈強なメンタリティを持つ彼女が
積極的に生きる(死ぬ)姿が光る
痛快なエンタメとなった。

かといえば
アタマ空っぽのヤリ●ンビッ●が
戦うだけの物語でもない。

これは一人の女性がタイムリープを経て
自身を見つめ直す成長の物語でもある。

もちろんこれもループ系では
ド定番のくだりでもあるのだが

主人公が幾多の命のやりとりを経て
家族の愛や友達への感謝の気持ちなど
次第に素直さを取り戻していくプロセスが
“元”ヤリ●ンビッ●であった背景が
より彼女を輝かせることとなる。

もはやもう彼女がビッ●であることが
この映画のすべてを成立させているのだ。

冒頭の超絶自己チューでヤな女。

殺人鬼に追われ怯える普通の女子大生らしさ。

ループに開き直ってヤケになる姿。

心を入れ替えた別人のような「いいヤツ」モード。

犯人と戦う覚悟を決めた「戦士」としての女性像。

人としては決して優れていない
むしろ不完全で欠陥だらけの主人公が
次第と変わっていく姿が
怪人や殺人鬼側ではなく主人公側を
応援したくなってしまった。

――――――――――――――――――

あとこの作品の続編である
「ハッピーデスデイ 2U」も面白い。

超面白い。

好き。

主人公ツリーが一作目で見せてくれた
屈強なメンタリズムは衰えることなく
むしろパワーアップした姿を楽しむことができる。

なんなら次回作では

「いっちょ死んどくか!!」ってなノリで
バンバン率先して自害していく。

元々薄かったホラー要素が
更に希釈されて青春SF映画へと変わり
謎のマスク男も直接的には物語に関わらない
マスコットと化してしまう。

ホラー要素はゼロになった二作目だが
本作にハマったのなら
次作の路線変更もきっと楽しめるはずだ。

友達とのホームパーティーで
ダラダラと酒を飲みながら観るにはとてもちょうどいい映画なのではないだろうか。

※※※※

以下はゴリゴリのネタバレにはなるが
ぼくのMEMOとして
これまでのツリーの健闘の記録を残したい。

【take1】
「ビッ●」全開。
この時点ではどうしようもない性悪女。
死因:夜道で刺殺。

【take2】
記念すべき1回目のループ。
お誕生日会にて現地調達した
イケメンにロックオン。
ここでもしっかりビッ●
死因:割れたガラスのパイプによる刺殺

【take3】
まだ2周目にも関わらず
しっかりと傾向と対策を掴み
ループへの適応能力の高さを見せる。
死因:自分の部屋で刺殺

【take4】
ストーカーがゲイだった。
死因:あっさり刺殺

【take5】
せっかくなので
ヘアカラーにピンクを差してイメチェン☆
死因:犯人タックルからの溺死

【take6】
親友が犯人かもしれない。
親友もビッ●。
この映画にはまともな人は
出てこないのだろうか。
死因:交通事故

【take7】
だんだんとヤケになってくる。
全裸で外出とかしてみる。
犯人と間違えて友人を撲殺。
死因:撲殺

【take8】
これまでのループで受けてきた
傷が蓄積されるとわかるシリアス回。
犯人から逃げ切るいいところまで行くが失敗。
死因:爆死

【take9】
ループに慣れすぎて
一周回って超冷静。
犯人を突き止めるも
引きな人が死んでしまい
もう一度ループする。
ビッ●だけどキュンとする姿にグッとくる。
死因:エクストリーム自殺

【take10】
好きな人が生き返る!!
これまでの弱かった自分にサヨナラして
新しい人生を歩む。
ビッ●だった彼女はもういない。
死因:睡眠中になぜか死亡。

【最終take】
真犯人がわかる。
ジェシカは死なずに
誕生日の翌日を迎える。

いやーおもしろい。
三作目出ないかなー。

【リンク:ハッピー・デス・デイを観る】

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